合併よりも、今、そこにある産業興しにかける
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−ユニークな町長さんとして注目ですが・・・。
昭和45年に郵便局から電電公社(現NTT)にかわり、その時の委員長が今井勇さん、全逓の湯浅英市さんとは同年代で、一緒に労働学校に行った。全電通30年誌に委員長として、「組合運動も首長も尽きるところ、向かうところは一緒」と書きました。
おふくろが倒れて52才の時に帰郷し自宅介護をしていましたが、第3セクターに関わり、アマンボウ(海中船)を走らせホテルをやった。その時、議会との軋轢があり、町議会に出て、2期目の議長の時に町長選挙。助役との選挙で、応援してくれたのは上田さんという町議だけでしたが勝ちました。世の中が厳しくなっていたからなれた。
かっての市町村はどこも金太郎飴。東出雲の海士も変わらない計画を作っていた。「知恵も汗も流さなければ」ということをわからせるのが首長。今、海士の職員が燃えているのは、それだけ上に対してもがいていた。私は、育てたと言うより火をつけただけ。
−単独町制を選択するに至る苦労をお聞かせ下さい。
結果から言えば、単独町制を選択した判断に誤りはなかった。
合併協議会で議論し、その間14地区で3回座談会をし、シミュレーションをもって回った。尽きるところ、3つの島は、それぞれ小さいながら特色のある完結型の島で「合併のメリットが生かされない」「最終的にこの道しかない」という苦渋の選択をした。
住民わずか2,500人で住民投票はしていませんが、アンケートでは、「合併したほうが良い」というのは少なく、職員も「自分たちの島は自分たちで守る」という意思が強く、私もその考えでした。今、合併された首長さんと話をすると、意識の醸成とかで相当苦労しておられると感じます。
私は、平成16、17年度にかける。18年度をクリアできれば、19年度につなげられる。合併で意識とか一体感醸成に時間をかけるよりも、今のそこにある産業起こしにかける方がむしろベターではないか。早くそれに取り掛からなければならない。
6月に選挙が終わったあとの14地区の住民座談会では、拍手で「がんばれよ」という激励もあって、住民の一体感もできた。例えば、バスの75歳以上の運賃半額も白紙。ゲートボール協会の補助金も、自ら「そんな時代じゃない」ということを言っていただきなくした。逆に、いろんな面で「協力できることはないか」と言ってもらっています。
17年度決算は、10数年ぶりに基金を崩さずにクリア。県下の町村では他にはない。それには、職員の協力があった。16年10月組合から自主的に申し出があり賃金カットをした。決して高いとは思っていないが、地元のローカル賃金と比べると高いところがあり、民間の厳しい目があった。今は、何も言われないし、見る目が変わった。先日も「役場ががんばるんだから、民間もがんばらなければ」というハガキが届いた。
3役は、22年まで30%カット。職員はもう1年契約で、例え何%でも回復する。12月のボーナスでは少し色をつけると座談会では言っています。
−今後、広域連合などを活用することも考えられると思いますが・・・。
3町村でできることは既に前からやっていました。例えば船の内航船をやっています。県の指導もあり、模索しているところです。
具体的にこれだというのが見えてこないので、協議が続いています。広域連合を使ってできるのは、給与計算の電算の関係くらいかなと思います。
−単独町制を選択して困っている点を教えて下さい。
合併しなかったからといって、極端に困っていることはありません。福祉事務所も、それぞれやることにした。共同がいいとは思いますが、温度差や面子にこだわっている部分がいっぱいある。今までの意識が変わってない部分だと言える。
西ノ島は合併をしたいということだったが、知夫と海士は消極的。(海士と西ノ島をつなぐ)島前大橋ができていたら、合併を拒む大義名分はなかった。しかし、県ははっきりできないということだったので・・・。
−県に対して望むことをお聞かせください。
権限委譲の関係では、県から下ろしてもらうものはあまりない。パスポートぐらいでしょうか。今は西ノ島の合庁でできますが・・・。
この前、県の新任課長研修で講義し、課長さんたちには、「町村は常に住民と接しており、県は、国とのサンドイッチで辛い立場かもしれないが、答えは現場、課題は現場にあるという思いで仕事をしてください」と言っています。
見ていると、フン詰りになった部分がある。知事と組織の距離が大分ある。知事は偉い人だと思いますが、奥の院に入れ、カーテンがある。ただ、この前のトップミーティングは、自分で仕切って、変わったなという感じです。
私が合併しないガンだということで、県は冷たい感じもありましたが、支庁長や県幹部と徹底して話して理解してもらいました。国の方針で合併も「みんなやる」ではなくて、役場の職員がどれだけがんばっているかを見て欲しいと言った。
−これからの自治体行政(海士町)についてお聞かせ下さい。
今までのイメージを打ち破ることからしてきました。「役場はこういうものだ」ではなく、全てのことに関わ「よろず相談所」。最近、土建屋がごたごたし緊急に雇用の対処をしていますが、それぞれの実態にあった「サービス株式会社」だと思っています。
今、やっている産業興しも、雇用を広げ税金をいただくには時間がかかりますが、「儲けて見せる」まで行政がやらないと後継者はできない。これからのは、事業を興す、火をつけるだけではなくダメ。補助金だけでは後継者は育成できない。
ある面「やりすぎ」と言われますが、こういうところでは、やっぱり「田舎のエリート集団が役場」だと思っていますから、職員が中心になってやらなくてはいけない。その意味で行政の役割は重くなっていると思います。
中でも、「交流」が大事。セブン・イレブンとか大手との取引ができ始めたのも、人の力。CAS(鮮魚の冷温保存技術)なんかでも10分の10事業を職員が探してくる。職員のやる気も大事ですし、こちらが仕掛けていくしかない。金がなかったら、人の知恵や力を借りる。人が人を紹介し、また紹介してという、人の力を借りるしかない。
−新型交付税が取り沙汰されますが、国に対する意見をお聞かせ下さい。
「交付税は人口と面積で」というのは全く理解できない。東京に行くたびに財務省に文句を言っています。交付税の本来の財源保障とか財政調整の機能を忘れて、竹中総務大臣が機械的に言っていることが許せない。都会との「格差」はもっとできる。
交付税は自分たちの食いぶちではない。土俵を揃えるもの。交付税で土俵を揃えて、相撲を取らせてくださいと言っているが、最近は配分が大きく違ってきた。田舎と都会の役割、そこのところを分かっていない。地財ショックの時、「1ヶ月ぐらい水と食料を都会に送らなかったらどうなるか、やってみたらいい」と極論を言った。田舎の果たしている役割を国の役人も分からなくてはいけない。
自民党は今、公明党と組んでいますが、公明党は全く都会型ですし、やっぱり地方の分かる総理大臣になってもらわないと、今の延長では困る。自民党は今のままだったら、参議院はまた負けるんじゃないでしょうか。
−最後に職員に求めたいことをお聞かせ下さい。
これから2期目4年間は私の責任であり、今立ち上げた産業を、着実に数字を出し、そのことにより雇用の場を拡大していく。新たに産業興しをどんどんするよりも、今ある産業の数字を出していくのが大きな仕事だと思います。
「今の行政レベルは下げない」ということにしています。そのための賃金カットという職員の意見で、「未来への投資」だという考えで、そこは共通していますので、「我々が血を流すことで住民が受け入れてくれる」という一つの姿勢だと思っています。
数字が厳しいものになれば、職員にこれ以上のものは求められないので、サービス・ダウンしかない。「自分たちの地域は自分たちで守る」というこの思いに尽きており、今さら職員に求めることはありません。考え方は日本一。彼らの思いは本当にうれしいです。21町村の中で一番厳しいかもしれないが、職員との距離は一番短いです。
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